ますたーの研究室

英詩を研究している大学院生が、日常に転がるあらゆる「大好き」な物事を気ままに考察・研究するブログです。

「お覚悟はよろしくて?」―『Go! プリンセスプリキュア』を観るゼミ

1. はじめに:わりと本気でゼミをやるつもりだった

「一番好きなプリキュア作品は何ですか?」という質問をされたとしたら、「『Go! プリンセスプリキュア』が一番ですね」と答えます。

 

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『Go! プリンセスプリキュア』は2015年度のプリキュア作品です。本作の略称は色々ありますが、公式サイドも使用されている『Go! プリ』を私も使っています。

 

『Go! プリ』は当時も熱心にリアタイ視聴していましたが、私のプリキュア好きを決定づけた作品であり、「プリキュア作品」という括りを外してもトップクラスに大好きな作品です。今年も、5月~夏頃に熱が沸き起こり、好きすぎて3周くらい観ました。

 

 

というわけで、『Go! プリ』を観るゼミを開講しようと思います(唐突)。

 

2. 『Go! プリ』を観るゼミ:シラバス

 

「お覚悟はよろしくて?」

―『Go! プリンセスプリキュア』が描く「プリンセス」と「夢」

 

【概要】

2015年に放送された『Go! プリンセスプリキュア』は「夢」を題材にしたプリキュア作品である。「人々の夢を守る」戦士であるプリンセスプリキュアは、「つよく、やさしく、美しく」をテーマとして掲げ、真のプリンセスになることを目指し、それぞれの夢を追いかけながら日々プリンセスになるための努力と鍛錬を積み重ねていく。本ゼミでは『Go! プリンセスプリキュア』を概観し、特に「夢」と「プリンセス」の描写に注目しながら作品を分析していく。『Go! プリンセスプリキュア』を体系的に視聴して理解したうえで批評するのみならず、文学的な要素や視点を加えながらアニメ作品を分析することで、アニメと文学を語りつなぐ言葉を涵養していくことが本論の狙いである。

 

 

【内容】

作品の流れに沿って、毎週1話~4話ほどのエピソードを視聴する。その後、レジュメの内容に従って議論を深めていき、各回のテーマについて考察していく。『Go! プリ』、あるいは別のアニメーション作品の分析や解釈に役立ちそうな文献等も適宜読み進めていく。

 

 

今年の5月頃に、マジで本気で『Go! プリ』を観るゼミをやろうとしてシラバス的なものも作りました。

 

大学の授業は13週なので、それに準じて13回に分けて『Go! プリ』を体系的に視聴していく計画を立てました。以下がその進行予定です。

 

 

【進行予定】

1、「レッツゴープリンセス」

主人公、春野はるかは幼少時に読んだ絵本『花のプリンセス』に深い感銘を受け、以後「花のプリンセスになりたい」という夢をずっと大切に育んできた少女だった。そんなはるかは幼いころに出会った不思議な少年、カナタとの思い出とカナタからもらった「夢のお守り」を大切に持ち続け、夢を叶える学園「ノーブル学園」に入学する。そこで、生徒会長であり才色兼備な「学園のプリンセス」海藤みなみ、トップモデルの母親を持ち、中学生ながら気鋭のモデルとして活躍する天ノ川きららと出会い、ひょんな流れから3人はプリンセスプリキュアとして覚醒し、ここから3人の物語が始まっていく。

 

第1話「私がプリンセス?キュアフローラ誕生!」

第2話「学園のプリンセス!登場キュアマーメイド!」

第4話「キラキラきららはキュアトゥインクル?」

第5話「3人でGO!私たちプリンセスプリキュア!」

 

2、「クローズとフローラ」

ディスダークの三銃士の一人であるクローズは、はるかが変身した姿であるキュアフローラに特に固執する。クローズは物語全般を通して、フローラが乗り越えるべき壁として何度も立ちはだかり、何度も激突する重要なライバル的存在である。さらに、クローズとフローラの関係性だけでなく、夢を縛るイバラのイメージに注目し、作品横断的にイバラがどのようなイメージとして用いられているのかを検討する。

 

第10話「どこどこ?新たなドレスアップキー!」

第11話「大大大ピンチ!?プリキュアVSクローズ!」

第12話「きららとアイドル!あつ~いドーナッツバトル!」

 

3、「気高く、尊く、麗しく」

プリンセスプリキュアたちに新たな脅威、ディスダークを統率する闇の女王ディスピアの一人娘、トワイライトが登場する。闇のプリンセスとしての自らの揺るぎなき正統性を主張し、プリンセスプリキュアを「偽りのプリンセス」として排除しようとするトワイライト。「真のプリンセスとは何か」という問いを巡り激しく対立する両者にとって、重要な契機となったのははるかの夢の芯となった絵本『花のプリンセス』をめぐるエピソードの第18話である。絵本の作者「望月ゆめ」との対話や、ついに対面で激突するトワイライトとの戦いを通して、はるかの夢が具体性を帯び始める。第18話は全編を通しての最重要エピソードと呼んでもいい、濃密かつ検討要素の多い回である。

 

第13話「冷たい音色・・・!黒きプリンセス現る!」

第18話「絵本のヒミツ!プリンセスってなぁに?」

 

4、「私とみんなをつなぐ夢」

第14話を境に、絶望の檻に捕らわれる夢の性質が変化していき、主人公たちの身近な人や、直接的に関わりのある夢についてのエピソードが描かれ始める。「夢は一人で叶えるものではなく、誰かの応援や協力があってこそ叶えられる」というメッセージ、即ち「夢は人と人をつなぐもの」という本作の夢の表象が明確になり始める。それが明らかになってくる家族回を中心に、夢の在り方について考えていく。

 

第14話「大好きのカタチ!春野ファミリーの夢!」

第16話「海への誓い!みなみの大切な宝物!」

第17話「まぶしすぎる!きらら、夢のランウェイ!」

第19話「はっけ~ん!寮で見つけたタカラモノ!」

 

5、「希望の炎、キュアスカーレット

トワイライトの正体、それは王子カナタの実の妹であり、幼いころに行方不明になったホープキングダムの王女トワだった。「グランプリンセス」になりたいという夢を持っていた希望の姫君が、その夢を利用したディスピアの策略により絶望の森に迷い込み、夢と自我を抹消された上で絶望の姫君として育てられたのである。トワを絶望の森から救い出すべく、プリンセスプリキュアはディスピアと対決する。やがて、トワイライトは忘れていた兄と一緒に過ごした幸せな記憶を掘り起こし、トワとしての自我を取り戻したうえで4人目のプリンセスプリキュア「真紅の炎のプリンセス、キュアスカーレット」として覚醒する。全編屈指の熱い展開が続く場面であり、分析や解釈を加えつつも純粋に楽しく視聴していきたい。

 

第20話「カナタと再会!?いざ、ホープキングダムへ!」

第21話「想いよ届け!プリンセスVSプリンセス!」

第22話「希望の炎!その名はキュアスカーレット!」

 

6、「私たち5人でプリンセスプリキュア

トワが新たに仲間に加わり、チームになじんでいくための日常的なエピソードが続く。はるか、きらら、みなみ、そしてゆいとトワが個人的にエピソードを紡ぎ、そして「プリンセスプリキュア」がチームとして完成へと向かっていく。ここで、これまでも主要なメンバーとして貢献してきたゆいに注目する。彼女はプリキュアには変身できないものの、ずっと仲間たちを献身的に支えてきた重要な仲間である。製作陣はなぜゆいというキャラクターを用意したのか、今後の展開を予想した上で考えていきたい。

 

第23話「ず~っと一緒!私たち4人でプリンセスプリキュア

第24話「笑顔がカタい?ルームメイトはプリンセス!」

第25話「はるかのおうちへ!はじめてのおとまり会!」

第28話「心は一緒!プリキュアを照らす太陽の光!」

 

7、「あきらめない気持ちと強さ」

ロックとの決戦とクローズの復活を押さえるべく視聴する。「プリキュアだから戦う」のではなく、たとえ変身ができないとしても、夢を守るため、絶望に屈しないために戦うという、本作の「プリキュアイズム」と呼ぶべきヒーロー像の在り方が呈示される。劇場版を彷彿とさせるようなハイクオリティな戦闘描写も堪能したい。

 

第29話「ふしぎな女の子?受け継がれし伝説のキー!」

第30話「未来へ!チカラの結晶、プリンセスパレス!」

第31話「新学期!新たな夢と新たなる脅威!」

 

8、「ジュリエットとはるか」

夢のために努力を惜しまないはるかの主人公としての理想像が象徴されたようなエピソード。イギリス地域文化研究という見地から特に注目していきたい第37話の(プリキュアシリーズ恒例の文化祭回と呼べる)演劇会では『ロミオとジュリエット』がフォーカスされ、夢に向かって邁進するはるかの姿がジュリエットになぞらえられる。『ロミオとジュリエット』を踏まえた上で、シェイクスピア作品のアダプテーションという大きな問題について視野を広げられることを目指したい。

 

第34話「ピンチすぎる~!はるかのプリンセスコンテスト!」

第35話「やっと会えた…!カナタと失われた記憶!」

第37話「はるかが主役!?ハチャメチャロマンな演劇会!」

 

9、「舞え、復活のプリンセス!」

はるか回のクライマックス。「花のプリンセスになりたい」という夢を当初から一途に追いかけ続けてきたはるかだったが、ついに試練の時が訪れる。これまでひたむきに主人公の鑑のような振る舞いをしてきたはるかが、あろうことにも絶望してしまう。諦めかけてしまった夢と自分を取り戻すべく、はるかはどのように試練を乗り越えていったのか。プリンセスと夢の表象に注目する本ゼミにおいてもクライマックスになることだろう。

 

第38話「怪しいワナ…!ひとりぼっちのプリンセス!」

第39話「夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!」

第47話「花のように…!つよくやさしく美しく!」

 

10、「トワの決意とゆいの夢」

トワ回、ゆい回のクライマックス。「ホープキングダムを取り戻す」というトワの決意、「夢の力を伝える絵本を描く」というゆいの夢、それぞれに注目して2人のエピソードを見届ける。

 

第40話「トワの決意!空にかがやく希望の虹!」

第41話「ゆいの夢!想いはキャンバスの中に…!」

 

11、「1番星のきらら!」

きらら回のクライマックス。プリンセスプリキュアの中でもきららでしか描けない夢にまつわる葛藤と夢をつなぐバトンについて詳しく注目する。全編通してきらら回は総じてクオリティが高いが、その中でもきらら回のクライマックスとなる第42話と第43話は本当に涙なしでは観ることができない超神回である。これまでのきららの歩みと成長を丁寧に確認しつつ、心して視聴していきたい。

 

第42話「夢かプリキュアか!?輝くきららの選ぶ道!」

第43話「一番星のきらら!夢きらめくステージへ!」

 

12、「みなみの夢よ大海原へ!」

5人の中で唯一夢が明確でなかったみなみを通して描かれた夢の表象は、「夢は新たに生まれてくる」というものであった。みなみ回のクライマックスでは、きららとはまた別の形で夢と現実の葛藤を迫られることになる。みなみはどのようにして自らの夢と向き合い、夢へと進んでいくことになるのかを、これまでのみなみの様子を振り返りながら押さえていく。

 

第36話「波立つ心…!みなみの守りたいもの!」

第44話「湧き上がる想い!みなみの本当のキモチ!」

第45話「伝えたい想い!みなみの夢よ大海原へ!」

 

13、「つよく、やさしく、美しく」

いよいよ迎える本編の最終章、絶望の女王ディスピアとの直接対決。これまで考え続けてきたプリンセスと夢という2つのテーマが、文字通り結集されるのが最終章である。プリンセスプリキュアたちはどのようにしてディスピア、そして絶望と対峙し、グランプリンセスになっていくのか。そして、最終話でのクローズとフローラとの激突、5人の夢の行方など、『Go! プリンセスプリキュア』が最後まで何を描き、何を伝えたかったのかを、しっかりと考えていく。

 

第48話「迫る絶望…!絶体絶命のプリンセス!」

第49話「決戦ディスピア!グランプリンセス誕生!」

第50話「はるかなる夢へ!Go!プリンセスプリキュア!」

 

 

3. 「お覚悟はよろしくて?」

以上の計画を立てた理由ですが、『Go! プリ』は非常にテーマ性の強い作品なので、全体を概観しながら長期的スパンでもって語ることが重要だと考えているためです。

(というか、好きすぎるからゆっくりじっくり語りたい)

 

 

ということで、不定期な更新になってしまうと思いますが、このシラバスの計画に沿って、全13回前後に渡って『Go! プリ』批評を展開していきます。

 

概ね計画に沿ってやりますが、特に前半部分のスキップが目立つので、第1回と第2回の間にもう一回タイミングを設けて第7話~9話を扱います。

 

 

さて、次回予告的な更新で今回は終わるのですが、今回は少しだけ、ゼミのタイトルにもした「お覚悟はよろしくて?」について言及したいと思います。

 

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↑フローラさんが凛々しくてかっこいい

 

私は普段「ことば」を研究していることもあって、『Go! プリ』のモチーフ、「プリンセス」に基づく「お姫様ことば」が気になっています。

 

 

「プリンセス」の挨拶はいつでも「ごきげんよう」。敵へ啖呵を切る言葉も「お覚悟はよろしくて?」と、あまり日常生活では耳なじまない言葉が作品を彩ります。

 

 

ところで、本作のテーマは「夢」で、もう作品全体を通してこれでもかと「夢」が力強く表象されます。それを詳らかにすることが今回の取り組みの大きな狙いの一つですが、まずは「夢を持ちにくい時代になった」という問題意識が私の根底にあることを伝えたいと思います。

 

 

本作においてプリキュアは「夢を守る戦士」として描かれますが、「そもそも夢を持つ価値などあるのか?」という、根本的に夢の価値を否定する問いに対してはどうすればいいのでしょう。

 

 

そもそも、閉じ込める「夢」がなかったら敵さんたちは何も出来ないし、プリキュアも戦う意義を失ってしまいます。

 

 

で、この問いに対する私の答えは「お覚悟はよろしくて?」なわけです。

 

 

……わけがわからないですね(私もよくわからないままに書いています)。

 

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↑スカーレットの啖呵もかっこいい

 

 

『Go! プリ』を観ていた時の心地よさの要因の一つに、「なんとなく浮世離れした非日常性」を私は挙げます。

 

本作のモチーフである「プリンセス」はもちろんのこと、紳士・淑女を育成する全寮制の学校・ノーブル学園という非日常的なセッティングと、「お覚悟はよろしくて?」と「ごきげんよう」に代表される時代錯誤的な「お姫様ことば」は、その「浮世離れ感」を増加させることに役立っています。

 

 

そして、その心地よい「非日常性」は、「夢を持てなくなった現代」との対比でも語ることができるのではないか。

 

 

つまり、『Go! プリ』の「夢」と「姫」の表象は、「夢を持て」とは大きな声で言えなくなってしまった現代社会へのアンチテーゼとして機能しているのではないか。

 

 

これが、私が展開しようとする『Go! プリ』論の核心をなすテーマです。

 

 

……いやあ、よくわからないですね。

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↑とにかく「お覚悟はよろしくて?」でごまかしておきます

 

4. 終わりに

本論はなんとなく煮え切らない感じで終わってしまった感があり申し訳なかったですが、次回以降から詳細な作品分析に基づいた具体的な作品論を展開していこうと思います。

 

 

というわけで、次回は第1回「レッツゴープリンセス」でお会いしましょう。

 

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↑全編通して震えるほど好きなシーンです