ますたーの研究室

英詩を研究している大学院生が、日常に転がるあらゆる「大好き」な物事を気ままに考察・研究するブログです。

「吹奏楽団やまぶき 気まぐれ演奏会 Vol.1」のお知らせ:Johan de Meij, "Extreme Make-over" (2005)

1. 今週末に本番に出ます

今週末の土曜日(11月4日)に吹奏楽の本番に出ます。

 

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吹奏楽団やまぶき 気まぐれ演奏会 Vol.1」という演奏会です。

 

吹奏楽団やまぶき」は指揮者の山下先生と吹奏楽をやろうという趣旨でできた楽団で、今回が結成初の演奏会となります。知り合いに誘われ、曲目が面白かったので乗りました。

 

ヘビーな曲目に対してあまり練習回数が取れないという社会人団体特有の弱点もありますが、それを補って余りあるほどに個々人のポテンシャルが高い楽団だと思います。きっといい演奏会になると思いますので、もしお時間がありましたらぜひ土曜日の昼下がりは「かつしかシンフォニーヒルズ」にお越しください。

 

2. 「チャイコフスキーの主題による変容」の意味

で、宣伝だけで終わってしまうと味気ないので、今回は当演奏会のほぼメイン曲扱いであるヨハン・デ・メイの『エクストリーム・メイクオーヴァー~チャイコフスキーの主題による変容~』について色々とコメントをします。

 

この曲は16分近くある大曲なのですが、タイトルの「チャイコフスキーの主題」が示す通り、全編を渡ってチャイコフスキーの旋律が大きな構成要素となっています。

 

冒頭はサックス四重奏によって『弦楽四重奏曲第1番』の「第2楽章」(いわゆる「アンダンテ・カンタービレ」)がほぼ原曲通りに奏でられ、展開部では『交響曲第6番』『幻想序曲 ロメオとジュリエット』『交響曲第4番』の旋律を借用しながら盛り上がりを見せ、最後は『祝典序曲 1812』のファンファーレを用いて大々的に締めくくられます。

 

さて、個人的な話になるのですが、この曲は今回やる前から知っていて、チャイコフスキーが好きだったので色々と気になっていました。また、やる前までは「変容」の意味するところは、ここまで挙げてきたようなチャイコフスキーの主題が曲全体に多く盛り込まれていることだと思っていました。

 

ところが、この前の練習のときに、「変容」に込められた別の意味合いに気がつきました。気づいたきっかけは、冒頭の提示から印象的なファンファーレを経て、グロテスクな音の飽和の後にやってくるティンパニソロが、後半部に木低がでろでろやっている音型と同じものを叩いていることを認識したことです。

 

中間部以降、瓶笛が印象的に登場して以来、マリンバを始め様々な楽器によって延々と同じ音列が展開されます。その音列(E♭, G, G,  E♭,  A♭)が、「アンダンテ・カンタービレ」の音の並び(B, D, D, B, E♭)の音階の並びと一緒なことに気がついたのです。

 

ここの展開は明らかに「ミニマル・ミュージック」を意識していると考えられます。

ミニマル・ミュージックについてはそれほど詳しくないのですが、3年前にピクールの『交響曲第0番』をやったときに似たようなものと出会いました)

 

チャイコフスキーが書いたメロディアスな「アンダンテ・カンタービレ」が、パターン化された音型の反復である「ミニマル・ミュージック」へと「変容」している。

 

デ・メイが言う(「変奏」ではなく)「変容」とは、チャイコフスキーの旋律の現代音楽への転用を意味するのではないか、まあそんなことに本番直前になって気づいたわけです。

 

3. 「吹奏楽の面白さ」について

私は「吹奏楽の現代性」が面白くて吹奏楽をやっていた感があります。

 

基本的にはクラシック音楽が好きなのですが、コンテンポラリーな音楽を浴びるために超絶難易度な吹奏楽がやりたくなります。

 

グレード6付近の吹奏楽の大曲・難曲には、吹奏楽、ひいては音楽の限界と新たな可能性を追求しようとしている、意欲的な「問題作」がごろごろ並んでいます。

 

やはり、吹奏楽は面白いです。

 

今回の演奏会のプログラムもあらゆるジャンルを取りそろえており、「吹奏楽の魅力」みたいなものを嫌と言うほどお腹いっぱいに感じ取ることができると思います。

 

ぜひ、多くの方に来てほしいなと思う次第です。